6話
私の病名は心室中隔欠損症(VSD)というもの。
心臓の心室部分に穴があいているので、肺から入ってくる血液と、体中から戻ってくる血液が混ざってしまう。
まともに酸素が全身に行き渡らないために、さまざまな症状をが出てくるものらしい。
赤ちゃんの時にはすでに心臓の心室部分の真ん中に穴が開いていた。
酸素の薄い血液は、もちろん脳にもよろしくない。
穴は、赤ちゃんの頃は、即手術というほどひどくはなくて、経過観察を受けていたのだけれど。
みんなの期待も虚しく、穴は体の成長とともにどんどん広がっていった。
医者もとうとう手術を勧めてきて、お母さんが一人で段取りくんだのが、叔父さん(=お父さん)にバレて一悶着があった。
いろいろあったけれども結局、手術はお父さんの息のかかった病院で行われることになった。
そんな詳しい話は、出会った当時はできるはずはなかったわよね。
ただ、身長も体重も5〜6才児にしかならない体型は、説明しなくても何となくは理解してくれたのかな?
あれから、ちょくちょく顔を出してくれたよね。
アキから、学校に行っていれば一緒のクラスメイトで、すでに顔を合わせていた事も分かったし、学校内のいろんな話をしてくれた。
「治ったら、学校にくるんだろ?」
単に病気が問題で、学校に行っていないと思っていたのよね。そんな質問をする彼に私は、少し戸惑った。
病気だけが問題だったら、小学校に行くことくらいはできるもの。激しい運動とかはダメでも、机に座って授業を聞くのは可能だから。
けれど、彼の話をきいているうちに、アキのいる学校に興味が出てきていたのも事実。
(毎日、彼の顔を見れるんだったら・・。)
「う・・ん。」
小さく答える私に、アキはお日さまの笑みを浮かべた。
とっても眩しかった。
うっとりするくらいに綺麗だと思った。
顔の造りとかそんなんじゃなくて、心の底から出てくるアキの気持ちが表れた笑顔は、純粋そのもので。
私はドキドキしてたんだよ。